なぜか年末感が全然なく、準備が手につかなかった2023年。明けてからの投稿となりましたが、2023年に読んだ本のレビューとオススメをピックアップしてみたいと思います。 都市住民としてちょうどよく暮らすには? 改めて2023年読んだ本をざっと見渡してみる…
2022年もそろそろ終わり。ということで、今年読んだ本の中を振り返って、選りすぐりのおススメを4冊ご紹介したいと思います。 全体総括などは後回しにして、まずはおススメからいきましょう! 1.『土と内臓』(著:デイビッド・モントゴメリー) 土と内臓 …
図書館で待ちに待った一冊、やっと読めました。出版から1年経っているので、動きの速いこの分野、きっと現時点では変わってきていることもあるかもしれません。それでも、ひとまず読み終えた今の雑感をまとめてみたいと思います。 1.enforcerがいないと効…
2021年も押しせまってまいりました。今年も読んだ本の中からおススメをご紹介します。 続けて読んだ本全体の振り返りを通して、今年どんなことを考えてきたのかもまとめてみたいと思います。 では早速おススメの本から! 1.存在しない女たち:男性優位の世…
波乱だらけだった2020年も間もなく終わり。1年の振り返りということで、今年読んだ本のまとめをしてみたいと思います。 まずは今年読んだ本の中からのおススメ3選を! 1.絶望を希望に変える経済学(著:アビジット・V・バナジー、エステル・デュフロ) 20…
どもる体の伊藤亜紗さんの新刊を読みました。 今回のテーマは、「さわる」と「ふれる」の違いから見える触覚=手の倫理。 触覚の特徴とされているのは、距離ゼロ、持続性、対称性の3点。 そのうち、距離ゼロについては、「さわる」は中に入り込む感覚をとも…
1980年代終わりから立て続けに実施された一連の改革―選挙制度、行政改革、地方分権、日銀・大蔵省、司法改革ーについて、何が目指されていたのか、実際の変革にどう落とし込まれたのかを大局的に振り返った一冊でした。 著者ご自身指摘されている通り、個別…
宇野常寛さんの著作を読んでいて、ネットとの付き合い方を変えようと考えさせられた章がありました。それはnanapi・古川健介(けんすう)さんとの対談です。 宇野常寛さんの考えるインターネットのポテンシャルを開く利用法 人間は自分が意識的に入力した言…
2020年最初のシリーズ読書は期せずして貧困・社会保障がテーマとなりました。 一通り読んで感じたのは、自分たちはどんなルールに同意して社会に参加することになっているのか、理念と実態の両面で分かりやすく整理して確認することがまず必要なんじゃないか…
本屋の店頭に並ぶ韓国や中国を嫌い、蔑視するような「ヘイト本」を目にしてげんなりした著者が、なぜそのような本が作られ売られてしまうのか、本屋、取次、出版社、編集者、ライターと本の流通における川下から川上までさかのぼって探究した本。 確かに、何…
2019年も残すところあと2日。ということで毎年恒例の今年読んだ本の振り返りをしてみたいと思います。 1.読んだ本まとめ 読んだ本をジャンル分けすると下のようになりました。 移民・難民・・・外国人の子ども白書(著:荒巻重人)、ふたつの日本(著:望…
臨床心理学の博士号を取った著者が、いざ臨床でセラピーをしたいと沖縄のクリニックへ飛び込んだ。そこはデイケアを併設していて、クリニックでのセラピー(カウンセリング)とデイケアでのケア、両方に従事する中でケアとは何か、セラピーとの違いとは何か…
移民についての議論は多くの場合、「受け入れ反対!」と「受け入れ容認!」という相容れない二つの立場の激突のようになりやすい。でもこれはともに極端なスタンスで、そこに欠けているのは「どのくらい」「どのように」という”How"の議論であるというのが著…
去年献本頂いた「新築がお好きですか?」を読んで以来気になっていたテーマのひとつが「空き家」。 uchiyamatakayuki.hatenablog.com 読む本のすき間がちょうどぽっかり空いたので、読みたいリストに入れていた関連書をまとめて読んでみました。 緩い土地利…
サブタイトルにもありますが、結婚、出産、子育てなど家族をとりまく諸制度と各主体の選択の関係をデータに基づいてひも解き、どういった制度が「家族の幸せ」をもたらすのか、を分析した一冊です。 まことしやかにしやかに語られ、一般的に信じられている事…
TwitterやFacebookといったSNSがいかに文字通り「兵器化」してきているか、現状を概説している本です。ロシアによるウクライナでの軍事作戦や、イスラエルとパレスチナの紛争などを例にSNS上での情報戦が、今や新たな戦線として開かれている様子が描かれてい…
今の時代はこれまでになく民主主義への支持は高まっているのにも関わらず、 民主主義への信頼(政府、政治家、メディアなどへの信頼)は低下しているーこの逆説的状況を”民主主義疲れ症候群”とし、その原因は選挙型代議制民主主義に求められる。選挙型に代わ…
「還元主義」を鍵概念にし、美術史(特に抽象画にいたる絵画)とそれを鑑賞する脳の働きを解説した本。 抽象画ってよく分かんないな、どういうつもりでこういうの描こうと思ったんだろうな、と常々疑問に感じていたのですが、本書を読んでその成立の背景がよ…
今や中国を押さえ技能実習生として日本に滞在している人数が一番多いベトナム。そのベトナムからやってきた技能実習生が置かれた状況を取材した一冊です。 本書を読むと、ベトナム人技能実習生が、なぜタイトルの通り「奴隷労働」と呼ばざるを得ない状況に追…
人類が農耕を始めた昔からリーマンショック後までを行ったり来たりしながら、不平等がどんな変遷をたどってきたのか軌跡を巡る一冊。不平等はどんな時に大きくなるのか、縮小させる要因は何があるのか、考察しています。 本書によれば、不平等は秩序が安定し…
デジタルがデフォルトになっていく社会とビジネスはどんなものになるか、既にアフターデジタルに突入している中国の事例をもとに紹介・考察している一冊です。 アフターデジタルというのは 、デジタルの次に何が来るか?という意味ではなく、本書副題の通り…
なぜ人は退屈するのか?退屈とどう付き合っていけばいいのか?という問いに向き合った本。退屈の起源を系譜学によって辿ったり、経済史の中での退屈の位置づけの変遷を見たり、ハイデッガーやユクスキュルを引きながら哲学的に考究したりしています。 人は高…
2009年から2011年の春にかけて1年半、講談社の広報誌に連載した論考をまとめた本。それはつまり東日本大震災が起こる同月の頭に連載が終了したということなのですが、一見極めて突飛に見える新しい民主主義の可能性を模索したこの論考は、著者曰くまさにあの…
「来るべき民主主義」に続けて國分功一郎さんの著作を読んでいたところ、まるで山崎亮さんとの連続対談を視聴しているかのような読書体験になりました。 1冊目の「民主主義を直感するために」は、2010年以降の國分功一郎さんの評論集。その後半の対談の一章…
本書の副題にもなっている小平市都道328号線計画の見直しを求める市民活動に参加した著者が、その体験もふまえて近代政治哲学の源流にさかのぼって民主主義に再考察を加えた一冊。 小平市都道328号線をめぐる詳しい経緯は本書にゆずりますが、50年前に策定さ…
本書に先立つこと2冊、戦前日本のポピュリズムとメディアの関係に関する本を読んでいました。そこで語られていたことは、政党政治をバイパスすることは、権力による大衆の操作を容易にする危険性があるということでした。 uchiyamatakayuki.hatenablog.com …
どこで何やっているのかイマイチ分かりにくい「地方自治体」について、①執政制度のあり方(議会と首長・行政の関係)、②住民との関係、③地域社会・経済との関係、④地方自治体間の関係、⑤中央政府との関係、から解説した本。 イマイチどこで何やっているか分…
ここ最近ビッグデータ×機械学習により進むフィルターのパーソナライゼーション、ターゲティング広告、「ニュース」など、現代の情報環境が個人の意思や政治的選択にどんな影響を及ぼしてきたかというテーマの本を読んできました。 uchiyamatakayuki.hatenabl…
いつからともなく衣食住を手の届く範囲で、つまり匿名的な市場を通じてではなく、有名性のある関係の中で賄えるようになりたいなぁと感じるようになってきました。既存の市場や流通システムが何らかの不全を起こした場合でもサバイブできるようにとか、ほじ…
もともと医師出身で後に公衆衛生の研究者に転じた著者は、知識をアップデートし続け、データに基づき世界を正しく知ることの大切さを繰り返し説いてきました。名前で検索すればTEDでのスピーチもいくつもヒットします。そして本書でも古いままのイメージやバ…