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「「空気」の研究」(著: 山本七平)を読みました

読了。

なぜ日本人の思考は「空気」に流されるか?を考察した一冊。

日本人は、人であれモノであれ特定の対象に重ねたイメージを固定化してしまい、かえってその対象に自分の思考・判断をしばられてしまう、というのが「空気」に流された状態。
なぜそうなるかというと、日本社会が多神教の社会で相対化がヘタクソだから、ということらしい。

一神教の社会では神のみが絶対的存在なので、他のあらゆるものは相対的に捉える習いがある一方、多神教の社会は絶対化の対象が溢れていて、対象同士を比較するなどしてそのことに自覚的でないと無節操に対象に縛られることになってしまうという。
普通多神教の社会なら物事を相対的に考えそうなもんなのに逆説的だなぁというのが本書のハイライトでした。

相対化の手段として、本書では、(一方が善、他方が悪とレッテルを貼るのではなく)ひとつの対象の中に対立する概念双方を見いだそうとすること、歴史的な見地に立つこと、の2つの視点を挙げていました。
そして「空気」に流されないためには、「自由」に思考せよとのこと。

最近の読書の文脈からすると、鷲田清一さんの簡単に結論に飛びつかず考え抜く知的体力、平田オリザさんの分かりあえないことを前提にした対話、白川密生さんの一見相いれない二つの考え方を包摂し昇華していく中道、と同じ直線上にある一冊でした。

 

「空気」の研究 (文春文庫 (306‐3))

「空気」の研究 (文春文庫 (306‐3))