「自由からの逃走」(著: エーリッヒ・フロム)を読みました

読了。
今回から、スゴみじの要約に挑戦!

「近代化を経て人は昔ながらの束縛から解放され自由になったが、同時に経済・社会組織の大きさの前に無力感や孤独を抱えている。無力感や孤独感に耐えきれない人は、個性を捨て依存に逃避する。自由を個性化に資するようにするには、個人が仕事に創意を発揮できる社会・経済を作らなければいけない。」(138字)

ドイツ出身の著者は、ナチが台頭する1941年に本書を発表。
宗教改革産業革命を通じて自由を手にしたはずが、なぜファシズムを招来したかを社会心理学的観点から解き明かしています。

人々の逃避の対象として、ドイツにおけるナチズムが分かりやすい例として挙げられていましたが、広告やマスコミにさらされつづけている人々も意識的・無意識的に個を失い、マス=周りと一緒であることに逃避しているという指摘は鋭く、今に至ってもなお妥当性を失っていないと感じました。
さらに巧妙なパターンとして、もともと外部にある規範を内面化し、自ら進んでそうしているという感覚を持つという形の没個性化を示していましたが、これなんか「空気」につながるものともいえそうです。

人々の無力感・孤独感がどうナチズムの台頭を許したかという関連性は、なぜテロに走る若者が絶えないのかという心理的要因にも通ずるところがあるし、AI・ロボット化が自由の二つの働き(個性化VS無力化・孤独化)を増幅しそうだけれどもそれが社会心理・社会システムにどう影響しうるのかを考える材料にもなるし、半世紀以上前の著書ですが、現在にもとっても示唆的な一冊でありました。

 

自由からの逃走 新版

自由からの逃走 新版