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「砂漠の豹イブン・サウド―サウジアラビア建国史」(著: J.ブノアメシャン)を読みました

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読了。ブノアメシャン中東三部作、第二作目。

「純化したイスラムへの回帰とアラビア半島への浸透を志すワハブ派の末裔として、イブン・サウドは部族間抗争を鎮め、メッカの守護者となりアラビア半島を統一、サウジアラビアを建国した。建国後は元来自由な遊牧民であった国民の定住化や石油収入によるインフラ・産業整備を進め、国家を近代化した。」(139字)

著者の言う通り、トルコを建国したムスタファ・ケマルと比較するとその対象がとっても鮮やか。
ムスタファ・ケマルもイブン・サウドもオスマン帝国統治下のイスラムの緩みを問題視していたのだけれど、オスマン帝国崩壊後、近代的国民国家建設に乗り出すにあたって、ムスタファ・ケマルはトルコの政治・社会生活からイスラムを徹底的に排除し、イブン・サウドはその根源に回帰したイスラムサウジアラビアの社会の礎とした。

アラビア半島の根っこにあるダイナミズムが、豊穣なるイエメンから溢れ出る余剰人口の移動と衝突にあったというのは、新しい発見でした。
イエメンというと典型的な脆弱国家というイメージしかなかったので…
実は農業適地で豊かな土地だったのですね。

それにしても、第一次大戦前後からの旧オスマン帝国領内でのイギリス・フランスの悪辣ぶりは本当にひどい。
今の混沌の芽は間違いなくこの時期の両国の振る舞いによって撒かれたものである。

そのさなか当のイギリスはEU離脱とか決めちゃったワケですが、イギリス人の普通の人たちが、今の中東を見てどう感じ・考えているのか、いっぺん話を聞いてみたいなぁ。

 

砂漠の豹イブン・サウド―サウジアラビア建国史

砂漠の豹イブン・サウド―サウジアラビア建国史