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「【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛」(著: 池内恵)を読みました

読了。この内容で1,080円はお買い得ですわよ!

「中東混乱の根源とされるサイクス=ピコ協定は、諸民族がモザイク状に暮らし国民国家建設が難しいという同地域が元々抱える困難への対応策であった。同協定から100年、各国独裁政府の統治がアラブの春で揺らいでその困難が再び顕在化し、難民の発生や地域内外大国の介入等当時に似た状況が生まれている。」(140字)

第一次世界大戦時、イギリスとフランスが中東でそれぞれの勢力範囲を勝手に線引きして合意したサイクス=ピコ協定。
その後のイギリスの二枚舌・三枚舌外交とも相まって同協定こそが中東の混乱の根源であるといわれることが多いですが、かならずしもそれだけではない、というところから本書は始まります。

宗教、宗派、言語など、さまざまなエスニシティを抱えた人々が入り交じって暮らしている中東地域は、もともと誰ひとり不満を持たないように国境線を引き、国を作ることが困難であって、その困難さは今も変わっていない、というのが著者の指摘です。

実際サイクス=ピコ協定は、その後交わされた2つの条約によって上書きされ、実際にその通りの線引きが実現したわけではなかったそうです。

ふーん、そうだったんですねぇ~。正直理解が足りてませんでした。。。

しかし、自分の権益を広げるために、倒したい相手に対立している勢力を支援するという構図は、今も昔も変わらないんですね…。

ロシアとトルコの対立、アルメニアギリシャとトルコの関係、シリアとアサド政権と難民など、今に続く歴史的経緯がコンパクトにまとまっていて、とっても分かりやすかったです。
中東の権威主義的・独裁的な各国政府が、とにもかくにも国内諸勢力を押さえこみ国家の分裂を押さえていたのが、西欧にとって難民流入への防御壁であったという指摘も、なるほど、という感じでした。
本書は中東を読み解くシリーズものの第一弾なんだそうで、続きも楽しみです。

あー図書館予約で2ヶ月待った甲斐があったわ~。

 

【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛 (新潮選書)

【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛 (新潮選書)