日本会議の研究(著:菅野完)と神道の入門書を読みました

裁判沙汰にもなった話題作「日本会議の研究」。
2度目は読まないだろうと思い、図書館で延々待ってようやっと読みました。

随分待ったので、その間に神道の入門書で予習してみました。

去年仏教の本は何冊か読みましたが、そういえば神道の成りたちとか教義とか知らないなぁと思い当たり、いいきっかけかとも思って、毛色の違う3冊をチョイス。

神道入門(著:戸矢学)は、本当の神道の概説書。神話や、神道にルーツがある風習、神さまの系譜など、幅広く紹介されています。

「日本人の神」入門(著:島田裕巳)は、特に日本人にとって神とはどういう存在と捉えられてきたのか、どんな神を祀ってきたのか、が解説されています。

神道入門(著:井上順孝)は、神道を伝えてきたメディアとして、見える神道・神社/教団組織と、見えない神道・文化/習俗、の歴史をひも解いています。

3冊通読して感得した主なポイントは、

神道には、キリスト教の聖書やイスラム教のコーランなど教典がない、という意味で教義はない。

神道を通じて見える日本人にとっての「神」とは、人智を超えた力に対する畏怖の念を体化した存在である。(だから山などいろんな自然物がご神体となり、菅原道真など死後の祟りをなだめるために神に祀られる人もいる)

神道は時の政治権力の影響を受け、神や、神にまつわるストーリーが塗り替えられてきたし、宗教としての特権性も変わってきた。特に仏教とは一時、神仏習合といって表裏一体のような関係にあったが、維新後神道を非宗教化するため仏教と切り離された。

ということ。
初詣や七五三は神社、除夜の鐘や葬式はお寺、というよくよく考えたら宗教的にはチャンポンな生活ぶりですが、歴史的経緯を踏まえると、それも無理からぬことで、それはそれでいいんだな、と思えるようになりました。

 

それを踏まえての「日本会議の研究」ですが、知られなきゃしれっと思い通りにできただろうに、当事者たちにすれば騒がれてイヤだっただろうなというのが率直な感想です。

「国会にも多数の議連参加者を擁する日本会議の中核は、生長の家学生連合にルーツを持つ日本青年協議会の人々である。その政治的アジェンダは、反現行憲法(自主憲法制定、自衛隊国軍化、緊急事態条項追加)、伝統的な皇統の継承、家族の固守(夫婦別姓反対、反ジェンダーフリー)にある。」(133字)

 

理念の当否はいったん置くとして、刮目すべきは、本書で紹介されていた草の根での動員システムの緻密さ。
これこそが今優勢な勢力にあって、劣勢な勢力にないものだと思いました。

しかし、厳密なところは票数のシェアを確認しないとなのでしょうが、自民党さえも宗教票を恃んでいる(連立相手は別にしても)としたら、日本では宗教以外の一体何をベースに政治へのコミットメントを引き出すことができるのだろうか・・・

グローバルにも、ナショナルにも、薄くて広い一般利益を守るための具体的な指針が求められているように思えてなりません。

 

日本会議の研究 (扶桑社新書)

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神道入門

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神道入門 日本人にとって神とは何か (平凡社新書)

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