<弱さ>のちから ホスピタブルな光景(著:鷲田清一、講談社学術文庫)を読みました

弱いロボットの思考で引用されていたのがきっかけで手に取った本書。

 

尼僧や障碍者作業施設の運営者に始まり、ダンスセラピストや華道家、果ては風俗嬢まで、さまざまなケアの実践者へのインタビューを行った著者は、さらけ出された弱さに思わず手を差し出してしまうという人の本能的な反応が、ケアする人・される人という上下関係を超えた対等な「他者」性(わたしが誰かにとって何らかの意味ある存在であるというアイデンティティ)の獲得を導きうるとしています。

 

この「本能的な反応」は、最近読んだ東浩紀氏の「弱いつながり」でも取り上げられていました。
そこでは、実際に現地を訪れてみることが(たとえ行かなくともネットで検索できるような範囲の)言葉になる前の体験をもたらし、そこで抱く「憐み」が観光客と旅先の場所の弱いつながり・連帯を生み出しうる、とされています。

 

どちらにも共通しているのは、困りごとに直面している場面にナマに触れることが、理性に先立つ<関わり感>をもたらすということ。

 

チームビルディングに成功している組織・プロジェクトや人を巻き込む力のある地域なんかは、これをうまく行っているんじゃないかという気がします。
別言すれば関わりしろの感じさせ方がうまい。

あんまり狙ってやると物欲しげすぎて気持ち悪くなりそうなんで、さじ加減は気を付けなければいけなそうですが…

 

思いがけずシリーズになった弱い・弱さテーマの3冊、意外な気付きにたどり着いてびっくりです。