Hit Refreshマイクロソフト再興とテクノロジーの未来(著:サティア・ナデラ)を読みました

Microsoftのサティア・ナデラ 現CEOによる同社のチェンジの状況と今後向かう道を示した一冊。いわゆるGAFAを向こうにまわして(完全に向こうにまわすわけではなく、「同じ顧客のために争い、同じ顧客のために尽くす旧来の仲間」と著者は仰っていますが)どう舵取りをし、未来の技術的な見取り図とその中で自社が占めようとするポジションをどう描いているのか知りたくて読んでみました。

ご自身の出自やバックグラウンドも関係してか、顧客理解にしても、企業文化にしても、しきりに「共感」という言葉を使っているのが印象に残りました。

そして自社の文化として定着させようとした「成長マインドセット」は、出典がキャロル・ドゥエック博士の『マインドセット「やればできる!」の研究』という書籍なのですが、同書は自分も読んでいました。あれほどの企業のCEO が自分と同じようなビジネス書を読んでいるとは!とちょっと驚いたのですが、それをあのジャイアントかつパワフルな会社の組織運営に実際に取り込んでいるところに、同じ読書であってもインパクトの大きさが全く違うよな~と思ったり。

一番関心があった技術的将来像では、クラウドのさらに先の技術的シフトとして、複合現実、人工知能量子コンピューターの3つが挙げられていました。
複合現実では、視界がコンピューター画面となり、デジタル世界と現実世界が混然一体となる体験をすることになる、と予見しています。インターネットネイティブの世代がいるように、没入型のコンピューター経験しか知らない、複合先日世代の人々が中心の時代が来るかもしれない、とのこと。
人工知能については、おなじみCortanaのようなパーソナルアシスタントがより普及し、同時に大量のデータに基づく機械学習を医療(病気の診断etc)などに活用できるようになると見ています。
そしてこれらが必要とする強力なコンピューティングを満たす鍵となるのが、量子コンピューターで、実現した暁にはムーアの法則を打ち破りコンピューターの物理を変える、と考えられているそうです。

方向性として感じたのは、人間の知覚はよりアルゴリズムに包まれ、時空のあり方の変化がより加速していくだろうな、ということ。
趨勢がそっちに向かっていくとき、文字通りの意味でフィジカルな移動や体験の位置づけはどう変わっていくか、複合現実に代替されないものは何があるか、もしくは逆に複合現実の供給に関われるようなリソースを蓄積・確保しうるか、を考えておくことが必要と認識しました。さぁ、何ができる・何をしようかしら?

 

ご本人も著書の中で仰っていますが、現職CEOが自社の今の動き・今後の方針をまとまった形でパブリッシュするのはなかなか珍しく、内外とのコミュニケーションとしていい形だなぁと思いました。

 

Hit Refresh(ヒット リフレッシュ) マイクロソフト再興とテクノロジーの未来

Hit Refresh(ヒット リフレッシュ) マイクロソフト再興とテクノロジーの未来