「「イスラム国」の内部へ:悪夢の10日間」(著: ユルゲン・トーデンヘーファー)を読みました

読了。

「2014年12月、ISの招待を受けた筆者がラッカ・モースルを訪問したルポ。IS統治下の町の様子や、ムハンマド時代のイスラムに則った国を築くため集まってきたIS戦闘員とのやり取りが描かれる。ISを取り除くのは諸外国の軍事行動ではなく、宗派対立を乗り越えたアラブの人々だけであるという指摘が心に残る。」(140字)

著者はドイツ人ジャーナリスト。
真実を求めるには、常に争いの当事者双方の話を聞くことが必要という信条の筆者は、1980年代にアフガニスタンのムジャヒディーンとソ連参謀本部長、カルザイ大統領とタリバン指導者、アサド大統領と反体制派へのインタビューを行っている。
その経歴と過去の取材・報道内容を買われ、ISから正式に保護を受ける形で取材を許され訪問を果たした。

ムハンマド時代のイスラムに厳格に則った国を造ることを目指すISは、「となりのイスラム」著者の内藤正典氏も指摘の通りイスラムの病なんだろう。

世界中からISに集ってくる戦闘員がなぜISを目指したかという話を読むにつれ、この病は軍事行動によって外科的にたとえ一時取り除けたとしても、完治はしないだろうと感じた。
病根は潜伏していつか必ず再発する。
病気にならないためには、内科的な対応、病にならない体を作ることが必要。
その人数、国民に占める割合はどうあれ、ムスリムの人たちが本当に大切にしていることが何なのか非ムスリムの側も理解するとともに、それを大切にしながら生きていける場を作らなければ。
そしてことはムスリムに限った話でもない。ひどい格差、社会からの疎外など、非イスラム社会でテロや犯罪が生まれる背景とも共通する部分は、きっと大きい。

まずは、知ることが第一歩、かな。

 

「イスラム国」の内部へ:悪夢の10日間

「イスラム国」の内部へ:悪夢の10日間