「宗教からよむ「アメリカ」」(著: 森孝一)を読みました

読了。
アメリカ大統領選がちょっと違って見えるようになりました。

「1980年代のアメリカでは政治の保守化と新宗教右翼の政治参加の強まりが同時進行した。1960~70年代を通じて伝統的価値観や道徳観が崩れ去り、多くの人が「神のもとなる国家」アメリカへの危機感を募らせたことが両者共通の背景としてある。「アメリカの夢」が描き直せなければ今後もこの傾向は続くだろう。」
(140字)

アメリカの本土には2回だけ行ったことがあって、1回はワシントンDC、もう1回はウィスコンシン州のマディソンでした。
そのマディソンに行った時に感じたのが、「うへぇ、こりゃ広い国だ」ということ。
シカゴからバスでマディソンまで移動したのですが、まぁその途中だだっ広い土地の広がっていること広がっていること。
そりゃ日本人とは発想が違ってくるわな、というのを体で感じたのを覚えています。
と、同時に、ここから出たことない人もたくさんいると聞き、それ
は色んな意味で「世界一の井の中の蛙」の集まりなのかもしれないなぁとも思いました。

その「世界一の井の中の蛙」の発想というか、考え方の源ってどうなっているんだろうとずっと気になっていて、ちょうど中東とイスラムが一段落したので、対概念としてアメリカと宗教の話を読んでみようというのが本書を読み始めたきっかけです。

基本的に移民が集まってできた国家であるアメリカは、共通の歴史を持たないため、共通の未来を「信じる」ことで多様な人々がひとつにまとまる、という指摘はなるほどと思いました。

「信じる」ことにアイデンティティの源があるアメリカは、自ずからその統治・政治に一定の宗教性を帯びていて、それはプロテスタントカトリックユダヤ教といった宗教・宗派の違いを越えたところにあるものだそうです。
そしてその信じる内容とは「神のもとなる理想的な社会を築くことは、選ばれし我々に課された課題であり、それこそがアメリカが存在する理由である」というもの。

アメリカの外国に対する振る舞い方や、リベラルな政治への根強い不信感の根っこってこういうところにあるんだなぁというのに触れることができる一冊でした。

 

宗教からよむ「アメリカ」 (講談社選書メチエ)

宗教からよむ「アメリカ」 (講談社選書メチエ)