「ブラインド・マッサージ」(著: 畢飛宇)を読みました

読了。まるで詩のような美しい小説でした。

「南京のマッサージ店で働く盲人たちが、運命に翻弄されつつも自分の希望を守り、夢を叶えようと奮闘する日々を描いた小説。盲人に安易に同情せず普通の同時代人として描写することで、盲人の喜びや悲しみ・夢と現実にリアルに迫ると同時に、盲人の目を通した今の中国をも切りとってみせている。」(136字)

中国人作家の現代小説は初めて読みましたが、本書は本当に美しい。

視覚がないことで巡らされる想像や、視覚以外の感覚を通じて捉えられた世界の描写がとっても繊細で、まさにその情景や心象風景が「目に浮かぶ」ようでした。

微妙にニュアンスを変えながら連ねられる修辞表現は、ほとんど漢詩の領域のものです。

中国語がまったく分からないにも関わらず、きっと原文の文章もリズミカルに韻を踏み、選ばれている言葉も詩情に溢れているんだろうなぁと想像させられました。

きっと訳者の力量も並外れて高いのでしょう。

決してハッピー・ポジティブ一辺倒のストーリー展開ではないのですが、読後感は清涼でございました。

ブラインド・マッサージ (エクス・リブリス)

ブラインド・マッサージ (エクス・リブリス)