クラシック音楽とは何か(著:岡田暁生)を読みました

ながら作業がしやすいから、無音より集中できる時があるから、など、なんとなくの理由で聴くというより聞き流しているクラシック音楽

そもそも定義は何なんだろう、ドラクエのテーマソングはオーケストラが弾いてるけどクラシックではないよなとか、そんなレベルの自分にとっても、入門書としてとっても面白く読める一冊でした。

クラシック音楽全般の興りから現在に至る流れ、時々で活躍した作曲家の作風とその時代背景などが紹介され、おおまかに全体像をつかむのにとっても参考になります。

 

名前からしてとてもとても古い音楽たちなのだろうとイメージしていましたが、ほんの18世紀後半くらいからの作品がクラシック音楽なんですね。

日本は開国後、鹿鳴館建てて、必死になって西洋の伝統を取り込もうとしたものだと思っていたのですが、その時点でもたかだか100年くらい前からの芸術でしかなく、むしろ共時的な流行について行っている、という見せ方だったのかもしれないと認識を改めました。

 

もともと雑誌か何かに連載されていた記事を再構成した本なので、一章ごとが長すぎず読みやすいです。それに大事なポイントになりそうなことは元の連載の別の回=本書の別の章でも繰り返し述べられるので、頭に残りやすいという特典も。

 

プロだからそりゃそうだ、という話かもしれませんが、著者が作曲家や楽曲、音楽の町の雰囲気について描写する文章の表現力は半端でなく豊かで、その空気感などもとても伝わってきます。

恩田陸の小説にしてもそうですし、パンフレットの解説にしてもそうですが、他の表現手段(主には文章)で、ある芸術分野・作品の魅力や世界観、ありていに言ってしまえば「良さ」を伝えるという越境的行為ができることは、すごい才能だと思います。

 

クラシックが嫌いじゃないけどよく知らないという人や、食わず嫌いの人におススメの入門書です。

 

クラシック音楽とは何か

クラシック音楽とは何か