熱海の奇跡(著:市来広一郎)を読みました

言わずと知れた熱海再生の中心人物、市来さんの取り組みを振り返りまとめた一冊。

Maruyaの人、という入り口でしか存じ上げなかったのですが、熱海を「クリエィティブな30代に選ばれる街」にするため打ち手を重ねてこられたのだな、と初めて知りました。

 

客足が遠のいた温泉地というと、何はともあれお客さんを集めなければという動きに走ってしまいそうですが、まずは街の人が街のことを知り、街を楽しめるようになることから始めたというところがスゴイと思いました。

フェーズごとのプロジェクトの狙い、積み上げ方は他の場所でも参考になるのではないでしょうか。

 

おんたま・・・街の人が街を知る、眠っているコンテンツを発掘する

カフェ・・・近くで面白い動きをしている人たちを凝集させる

マルシェ・・・起業に結び付きそうな作り手を見出す

ゲストハウス・・・外の人を呼び込み、街に送り出す

コワーキングスペース・・・起業したい人を集め事業化を助ける

 

自らの事業でも税金や補助金、外部からの資金に依存することなく、また域内で起業を促し経済的自立を目指そうとする目標設定はとってもいいなぁと思いました。
今の地域創生バブルがいつまでも続くとも限らないですし…。

 

あと印象に残ったのは、熱海銀座という狭いエリアで圧倒的成功を収めるという戦略的選択。ギュっと凝縮させることで、町のエネルギーや面白さを散逸させない狙いはなるほど、と思いました。歩ける範囲で面白さが積み重なっていると、やっぱり人はそこに集まるんですね。

 

全部を全部真似すればいいというものではないと思いますが、地域再生のステップの組み立て方の一つの道筋を描いたものとして、とても参考になる本ではないかと思います。

 

熱海の奇跡

熱海の奇跡