「日本の家屋と生活」(著:ブルーノ・タウト)を読みました

年明けてから日本の民家についての本を立て続けに読んでいたのですが、本書で一区切り。

 

「1933~36年日本に滞在した著者が、日本の建築特に民家の特徴と背景にある文化・生活を、個人的経験という形で論じた書。自然と親しみ質素なことが日本本来の生活・建築のスタイルであるとし、過剰な装飾や西洋の単純な模倣を戒めつつ、余りに素朴な建築の状況を批判し防火や都市計画の必要性を指摘する。」(140字)

 

著者ブルーノ・タウトは、外国人の目線から日本の伝統美を再発見したと評されているドイツ出身の建築家。名前は聞いたことありましたが、日本にも3年いらしたんですね。
『犬と鬼』のアレックス・カーさんや、『新・観光立国論』のデービッド・アトキンソンさんの大先輩みたいな方かな、と理解しました。

 

驚くほど簡素で開放的な造りの日本の民家は、日本の風土に合わせて形作られてきた人々の思想・文化・生活様式と不可分な関係にあり、そこに暮らす人たちにすれば合理的でかつナチュラルな様式美を備えた建築である、というのが本書を通じて繰り返し語られるテーマだったと思います。
著者にかかれば、世界遺産に指定されている日光東照宮でさえ、過剰な装飾が施された「いかもの」とばっさり切られ、外見的なシンプルさと裏腹に来訪者に哲学的な世界観や自然観を看取させる精緻な心配りが凝らされた桂離宮にこそ、日本の伝統美が見出されるとしています。

 

日本が持っているオリジナルな価値ある美とはいかなるものかについて知ろうとする時、外国出身の方の見方・意見というのは、アウトサイダーであるがゆえに客観的に見えるポイントがあるので、絶対傾聴に値するものだと思っています。
本書は80年以上前の著作ですが、その頃から指摘されていることは変わっていないんだなぁと感じます。

 

こういう、いわゆる禅的な「和」の美が繰り返し指摘される一方で、ここ数年世界モテするとしてもてはやされてきたのは、アニメやマンガなどのオタク文化でした。

この関係はどう考えたらいいんだろう?
知らないだけかもしれませんが、まだあまり両者が交わるような作品?題材?は出てきていないような気がします・・・

どうかそれが、巫女さんとtea ceremonyができるVRソフトとかじゃありませんように!

 

日本の家屋と生活

日本の家屋と生活