「移動」の未来(著:エドワード・ヒュームズ)を読みました

ドア・トゥー・ドアが当たり前になった今の「モノの移動」の話から、既存のインフラ・移動手段の限界、ライドシェアがもたらす「ヒトの移動」の変化、そして自動運転車の破壊的影響まで、広く目配りが行き届いた一冊です。

ベースになっているのはアメリカの「移動」事情ですが、多かれ少なかれ他の国にも広く当てはまるんじゃないでしょうか。

 

「既存の交通システムは、膨大な死傷事故を伴い、港湾・道路を混雑させるなど、持続不可能になりつつある。しかし現在生まれつつあるライドシェアや自動運転車は、人間が運転する個人所有の車を置き換えて事故を減らすと共に、道路容量に空きを生みモノの移動もスムーズにする可能性がある。」(134字)

 

本書前半では「モノ・人の移動の今」が描きだされています。
生産体制のグローバル化が進んだ結果、最終消費財が私たちの手元に届くまでにいかにモノが長い距離の移動を経ているか。
ネットショッピングの普及が戸口配送をいかに増加させているか。
そして人がいかに個人所有(一家に一台以上という意味も含めて)の車で移動しているか。

その結果、港湾や道路といった交通インフラは混雑し、過剰な通行量が大きな負担をかける結果、常に拡張や補修投資の必要に追われ続けている。
モノも人もラストワンマイルは「車」で移動するため、道路は「車」に占拠され、交通事故も絶えない。

そして最後の数章で、ライドシェアの広がりや、自動運転車の開発が、これら既存の交通システムを一変させうる、しかも問題を解決しうる、いかに破壊的なイノベーションになりうるか、の可能性を検討・紹介しています。

 

確かに、ほとんど稼働しない個人所有の、人間が運転する車というのは、もはや本人にとっても社会にとっても余りにムダが多く、しかも危険なビークルで、車に取って代わられた馬のような存在になっていくに違いない、と思わせるに十分な議論でした。

未来は絶対こっち(自動運転車のシェアライド)に向かうと思うんだけどなぁ。いつ来るかなぁ。

 

「移動」の未来

「移動」の未来