アート×テクノロジーの時代 社会を変革するクリエイティブ・ビジネス(著:宮津大輔)を読みました

チームラボ、タクラム、ライゾマティクス、 ザ・ユージーン・スタジオという最先端技術を駆使してアート表現を生み出している4社がなぜそれほどまでに注目を集める作品を世に送り出すことができるのか、それぞれの作品制作の過程や、発想の仕方、組織運営方法面から分析した一冊。

 

チームラボって改めてすごい集団ですね。
「世界は、統合されつつ、分割もされ、繰り返しつつ、いつも違う」が伊藤若沖の“枡目描き”をモチーフにしつつその手法をデジタイズしている例が紹介されていましたが、日本の古くからの文化と最新技術を融合させてクリエイティブを生み出していて、世界で評価される作品は目新しいだけじゃなく、やっぱり表現に奥深さがあるんだなと改めて感心。
ただ何せ現物を未体験なので、直近の機会があったら絶対体験しに行こう。

 

それと、本書内でタクラムのプロブレム・リフレーミング(課題そのものの枠組みを問い直すことで、その本質に迫る)や、ザ・ユージーン・スタジオの「一般車の死」の予言などが取り上げられていましたが、課題解決型の“デザイン思考”の対極にある課題提起型の“スペキュラティブ・デザイン”の実践方法を垣間見ることができて刺激的です。

あいにく自分は芸術作品・インスタレーションとして提示する表現手段を今のところ持ち合わせていないのですが、こういう「そもそも」の問い直しは好きなほう。きっと延々飽きずにやることもできる。
いつか何らかの形で「これはそのつもりでやりました」って言えるプロジェクトをやりたいなぁ。