RED―ヒトラーのデザイン(著:松田行正)を読みました

ヒトラーが大衆操作に用いたデザインを解説した書。

 

ナチ党のシンボル・ハーケンクロイツの運用だったり、ポスターのアングル・陰影の使い方だったり、直線的な設計だったり、過去に成功した事例とモダニズムの要素(モダニズムそのものは嫌悪していたらしいので、あくまで要素)をうまくミックスして、大衆の心理に訴えかけるブランド・デザインが、ヒトラーは天才的にうまかったらしい。

 

やや下からあおり気味に撮られた遠くを見据える顔のポスターで力強さを演出したり、色を使ったイメージづくりを行ったり、大勢に同じ動作(行進など)を繰り返しさせてひとりひとりの思考能力・判断力を奪っていったり、宗教的な要素を取り入れてみたり、日本の政党でもやってるねぇというテクニックが出てきて、「ははぁー、これか!」と随所で膝を打ちたくなりました。

これを全部統一的なディレクションのもと貫徹させるとあのような熱狂的な支持が生まれてしまうんだなぁ。日本の政党は不徹底でよかったと思うと同時に、紙一重なのかもしれないと、ちょっとうすら寒くなりもしました。

 

映画や写真、新聞・ポスター等の資料もふんだんに掲載されていて、ヒトラーのデザインの仕掛けを視覚的にも感じられる一冊です。

 

RED ヒトラーのデザイン

RED ヒトラーのデザイン