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介入のとき-コフィ・アナン回顧録【上】・【下】(著:コフィ・アナン)を読みました

1997年~2006年、国連事務総長を務めたコフィ・アナン氏の回顧録。
次から次に起こる人道危機に際し、内紛当事国のトップや安保理常任理事国の首脳・外相との息の詰まるような協議・交渉の様子が生々しく描かれています。

「コフィ氏は、国連を構成メンバーたる主権国家ではなく、憲章の主体たる「われら人民」のための組織とするべく変革を試みた。具体的には「保護する責任」の概念を打ち立て主権を隠れ蓑として使えないようにし、ミレニアム開発目標を設定し貧困の解決へのグローバルなコミットメントを高めた。」(135字)

 

上下巻に分かれたこの本は、細部にこそ読み応えが詰まっています。
自前の資金的・軍事的リソースを持たず加盟国の拠出に依拠している国連にあって、各国のある意味利己的な利害関心と地球益をどう調和させていくか、道徳的・道義的になされなければならないことにどう注意と資源を注ぐよう促していくか。

今この時の判断・決定次第で、数千・数万の人の生命の行方が変わってしまうかもしれない。
そんな緊迫した状況での外交交渉のやりとりは読んでいて息が詰まりそうになります。

ものすごい忍耐とコミュニケーションスキルが求められる職責なのだなぁと思い知らされました。

 

中東和平のプロセスがどう構築されていったのか本書で初めて知りましたし、イラク戦争についても、開戦に至るまでの安保理でのやりとりが振り返られていますが、安保理の承認がない中での武力行使がいかに重い意味を持っていたのか改めて気付かされました。

 

複雑な現実に対応しながら理想を求めたアナン氏の姿勢は、ポピュリズムが台頭し内向きになる国が増える今グローバル・ジャスティスをどう形成していけばいいのか、ヒントを示しているように思えます。

 

介入のとき――コフィ・アナン回顧録(上)

介入のとき――コフィ・アナン回顧録(上)

 

 

介入のとき――コフィ・アナン回顧録(下)

介入のとき――コフィ・アナン回顧録(下)