TOKYO 0円ハウス 0円生活・独立国家のつくりかた(著:坂口恭平)を読みました

前々から気になっていた坂口恭平さんの本を2冊読みました。

 

「ホームレス」と呼ばれる人たちがいかにクリエイティブに、そしてそれぞれの人にとって本質的と思える暮らしをしているかを体当たりでレポートした「TOKYO 0円ハウス 0円生活」と、政府が・市場が信用ならないのであればそれとは別レイヤーで作動する「独立国家」や「態度経済」を作り出せばいいという「独立国家のつくりかた」の2冊です。

 

両書通読して感じたのは、なんと自分が生きるうえで大切なこと/必要なことをよく考え、よく動く人だろう、ということ。

 

「TOKYO 0円ハウス 0円生活」の下敷きになっている「0円ハウス」は、坂口さんの卒業論文が書籍化されたものなのですが、その制作過程のすごいこと。
多摩川沿いに住んでいる方の家を片っ端から尋ね歩くとか、墨田川の路上生活者の家を調査して回るとか、さらっと書かれていますが、卒論でこれをやってのけるのはただモノではありません。しかもそれを売り込みに使える作品にまで仕上げるあたり、もはや卒業論文というより卒業制作に近いんじゃないかとすら思います。

 

自分が大事だと思うものを貫くこと、そしてそれを実際に形にすること。
人任せにしないで、自分で責任を追える空間=<スペース>を作り出し、持つこと。
このあたりの空間は、家入一真さんの「小さな経済圏」や西川正さんの「あそびの生まれる場所」と相通ずるところがあるな、と感じました。

 

ユニバーサルに全体を包含する大きな物語を描きにくくなっている今、小さくてもいいからそれぞれの人が自分の美学で "My space" を築き、そこに閉じこもらないでオープンに交流し合うことが、より生きやすい社会を構成することにつながるんじゃないかと思いました。

 

いつまでも文句言ったり、批判したり、勉強したり、延々準備体操してないで、さっさとやっちまいな、と言われたような気がします。

 

TOKYO 0円ハウス 0円生活 (河出文庫)

TOKYO 0円ハウス 0円生活 (河出文庫)

 

  

独立国家のつくりかた (講談社現代新書)

独立国家のつくりかた (講談社現代新書)