自民党ー「一強」の実像(著:中北浩爾)を読みました

タイトルこそ「自民党」と銘打たれていますが、単にひとつの政党の正体を暴くというような本ではなく、1990年代からの一連の政治改革の意味や、政策立案(という名の陳情処理)過程など、学校では教わってこなかった政治のリアルまでバランスよくカバー…

人々の声が響き合うときー熟議空間と民主主義(著:ジェイムズ・S・フィシュキン)を読みました

齋藤純一氏著の「不平等を考える」 で見かけた「熟議民主主義」の親玉っぽい本と目して手に取った一冊でした。 現実の政治に自らが及ぼせる影響がほぼないと考えられるとき、政治的イシューに関心を寄せ情報収集したり考察したりする苦労はどうせ報われない…

生活保障ー排除しない社会へ(著:宮本太郎)、共生保障ー<支え合い>の戦略(著:宮本太郎)を読みました

齋藤純一さんの「不平等を考える」で言及されていたことがきっかけで読み始めた2冊。 夫が働き妻が家族のケアをするといういわゆる標準家庭を前提に、各種補助金や公共事業など主に供給サイドへのテコ入れで経済成長と雇用の確保、さらには企業内での人材育…

2020年人工知能時代 僕たちの幸せな働き方(著:藤野貴教)を読みました

読後の感想は一言「やはり」である。何がって、やはり自分は彼に、彼の本拠地・幡豆で会いたい。どういう道のりでここにたどり着いたのか。ここからどこに向かおうという「意思」をもっているのか。 もともと面白そうなことやっているな、というのはSNSで見…

「接続性」の地政学(著:パラグ・カンナ)を読みました

本書での著者パラグ・カンナの主だった主張を要約するとこんな感じになります。 ======================= 21世紀、これからの世界中の人々の繁栄は、サプライチェーンにかかっている。メガシティを含む都市が基本的な経済の単位にな…

暗い時代の人々(著:森まゆみ)を読みました

丸山真男の「日本の思想」を読んだときに、なぜこんなに文学と政治と科学の三社関係が出てくるのか解せず、「そんなもんなのかー」と思っていた時に書評で目にして読むことにした一冊。満州事変(1930年)から太平洋戦争終結(1945年)までの最も精…

メノン(著:プラトン)を読みました

プラトンの対話編の一つ、メノンを読みました。 徳は教えられうるか?というメノンの問いに対し、ソクラテスはそもそも徳とは何か?を問い直し徳の定義を試みます。 自分が繰り出す定義をことごとく退けられ心が折れかけたメノンをソクラテスはこう言って励…

クラウド時代の思考術(著:ウィリアムパウンドストーン)を読みました

邦題よりも英語の副題の方が本書の内容をよく表しています。すなわち、簡単にググれる今の時代に物事を記憶することは大事なのだろうか?? 知識を得るための努力が、知識を得たことで手に入る見返りより大きいという合理的な無知がありうる。また脳は(調べ…

保守とは何か(著:福田恆存、編:浜崎洋介)を読みました

福田恆存氏のまとまった一冊の本かと思ったらさにあらず。いくつかの随筆をまとめた、短編集(?)的な書籍でした。 氏の保守観について直接言及しているのは、そのままズバリ、「私の保守主義観」というわずか5ページのごく短い小論。 いわく、保守とは、革…

不平等を考える:政治理論入門(著:齋藤純一)を読みました

確か日経新聞の書評で見かけたのが、本書を読もうとしたきっかけ。たまたま都議選直前のタイミングで手に入り、タイムリーで面白かったです。 本書は3部構成になっています。 第一部では平等な関係とは何かについて色んな基準(機会の平等、結果の平等、運の…

POWERS OF TWO二人で一人の天才(著:ジョシュア・ウルフ・シェンク)を読みました

「孤高の天才」というイメージは誤りであって、クリエイティビティやイノベーションは社会的つながりやネットワークから生まれる。最も分かりやすい例は二人組で、ビートルズしかり、アップルしかり、創造的な偉業は、相互補完的な二人組が成し遂げている。 …

日本の思想(著:丸山真男)を読みました

多分「保守主義とは何か?」を読んだ時に言及されていた一冊。日本には保守すべき機軸が確立してこなかったという指摘を、思想面で論じている本だろうと思って読みました。 曰く、日本人の中で、思想は、古いものが新しいものと対決せず、雑然と同居してしま…

なぜ僕たちは金融街の人びとを嫌うのか?(著:ヨリス・ライエンダイク)を読みました

知識ゼロから始めてその道のいろんな人にインタビューしながら理解を深め、核心に迫っていく様子を読者と共有するというスタイルで取材・執筆する著者。本書はロンドン、シティーを舞台に金融界をテーマに取材した2年間を追った記録です。 『ゼロ・トゥー・…

孤独と不安のレッスン(著:鴻上尚史)、学問と「世間」(著:阿部謹也)を読みました

10~15年前出版の「世間」と個人についての本を読みました。 その後ネットが拡がって、SNSが出てきて、ニュー世間みたいになってるけど、基本は自分は自分、ってことなんだろうなぁ。

これはドラマか、現実か~リゾートホテルのスイートルームで演劇鑑賞

リゾートホテルのスイートルームで観劇という突拍子もない企画のコーディネーションに関わりました。 足を伸ばして損はないプログラムです。演劇・アートの新しい棲み家を垣間見たい方、ぜひお越しください。 ======================…

それでも、日本人は「戦争」を選んだ(著:加藤陽子)を読みました

近代日本が戦った4つの戦争とは何だったのか―。 戦争と社会契約・憲法の関係を説きつつ、中高生と対話を重ね、共に考察し解き明かした講義録の一冊。 改憲議論が高まる中、庶民として知っておいた方がいい一つの歴史的な見方が提示されていました。

「蜜蜂と遠雷」(著:恩田陸)を読みました

本書を“ギフト“とするか、“災厄“とするか。それは、私たち次第である―。 温かくも熱い作品だったのではないかと推測していますが、果たして。

ブロックチェーンの衝撃(著:ビットバンク株式会社&『ブロックチェーンの衝撃』編集委員会)を読みました

破壊的テクノロジーといわれるブロックチェーンですが、実際どこまで浸透し破壊的影響を及ぼすかは、それを社会インフラとしてどれだけ受け入れられるかという、ユーザーおよび社会制度の側の問題であるようです。

世界正義論(著:井上達夫)を読みました

シリアへの空爆、北朝鮮への対応など、国際社会では何を正義とすべきか考えさせられる場面がとても多い今日この頃、実にタイムリーな一冊でした。

瞬間を生きる哲学<今ここ>に佇む技法(著:古東哲明)を読みました

まだ来ぬ未来のために今を見失うのはもったいない。そもそも時はリニアーに流れるものではなく、瞬間瞬間が不断に生起しているので、未来は今の延長線上にはない。 アリとキリギリスで言えばキリギリスの方が正しかったのか!?

「生きづらさ」について-貧困、アイデンティティ、ナショナリズム(著:雨宮処凛・萱野稔人)を読みました

今から10年前、2007年11月~12月にされた対談をまとめた一冊。非正規雇用ゆえの所属の不安定さ→社会的承認の不足(欠如)→ナショナリズムへの一種逃避という流れがあったことを、実体験も交えつつ解き明かしています。 「終身雇用が崩壊し流動化した日本社会…

観劇のあとさき

演劇は好きなんです。でも終幕後にそそくさと帰るのにはワケがあってだな…

シリア難民(著:パトリック・キングスレ-)を読みました

素晴らしいルポであればあるほど、これが現実に今起きていると思うといたたまれなくなる、そんな本です。 「あるシリア人難民のスウェーデンへの旅程を追いつつ、ヨーロッパを目指す難民が直面する現実を描いた一冊。難民はどれだけ危険でもそれがましな選択…

介入のとき-コフィ・アナン回顧録【上】・【下】(著:コフィ・アナン)を読みました

1997年~2006年、国連事務総長を務めたコフィ・アナン氏の回顧録。次から次に起こる人道危機に際し、内紛当事国のトップや安保理常任理事国の首脳・外相との息の詰まるような協議・交渉の様子が生々しく描かれています。 「コフィ氏は、国連を構成メンバーた…

デジタル・ゴールド(著:ナサニエル・ポッパー)を読みました

ビットコインの誕生から2014年頃までの紆余曲折を、関わった人々の群像劇的に描いた一冊。これだけの内容を説明調でなく、物語としてまとめたのがとても秀逸だと思います。記憶に残っているのはマウント・ゴックスくらいでしたが、あの破綻劇がどんな文脈で…

大卒無業女性の憂欝(著:前田正子)を読みました

取り上げられているケース・データや背景の考察が関西に偏っており、全国的に大卒無業女性がどうなっているのか、という全体像はつかみきれませんでした。正直、タイトルはちょっと盛り気味かもしれません。 ※関西で大卒無業女性が多いと主張されていますが…

テクノロジーは貧困を救わない(著:外山健太郎)を読みました

著者はマイクロソフト・リサーチ・インドの共同設立者。テクノロジーは貧困問題の解決に寄与しうるのか/そうではないのか、寄与しうるとしたら/寄与できないとしたら、それはどんな条件の時なのかをリサーチしてきた経験をまとめ、考察したのが本書です。 …

仕掛学(著:松村真宏)を読みました

もともと人工知能の研究者だった著者が、データ化されていない事象の多さに直面し、データに頼らず人の行動を促すにはどうしたらいいか思い悩んでたどりついたのが「仕掛け」。 例えば、問題解決につながる行動を促す「仕掛け」として、男性用便器の的や、駐…

日本会議の研究(著:菅野完)と神道の入門書を読みました

裁判沙汰にもなった話題作「日本会議の研究」。2度目は読まないだろうと思い、図書館で延々待ってようやっと読みました。 随分待ったので、その間に神道の入門書で予習してみました。 去年仏教の本は何冊か読みましたが、そういえば神道の成りたちとか教義と…

最後の秘境東京藝大-天才たちのカオスな日常(著:二宮敦人)を読みました

東京藝大在学中の妻を持つ著者が、藝大生・OB/OGへのインタビューを重ねてつづった一冊。 優雅で折り目正しい音楽学部”音校” 、バンカラで自由な美術学部”美校”と、両学部での藝大生の生態は一見対照的だが、その奥底には「アートから離れたくても離れられな…

<インターネット>の次に来るもの-未来を決める12の法則(著:ケヴィン・ケリー)を読みました

著者は元ワイアードの編集長。今現在インターネットやコンピューティングについて作用している技術的傾向を分析・分類し、それが今後どのような帰趨をもたらすか、避けがたい未来(原題は THE INEVITABLE)はどのような姿かを素描した一冊。 「自分も自分を…

LIFE SHIFT(著:リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット)、自分の時間を取り戻そう(著:ちきりん)を読みました

急ぎのそこそこ重要な案件に追われるあまり、急ぎじゃないとっても重要な案件に手がつけられていないんじゃないかーー。そんなそこはかとない不安をじわじわ感じることってないですか?自分にはあるのです、時々。いや、実は結構ひんぱんに。 そういうときい…

「アラー世代: イスラム過激派から若者たちを取り戻すために」(著:アフマド・マンスール)を読みました

ドイツでソーシャルワーカーとして、イスラム過激派に走りそうな(走った)子を持つ親たちの相談に乗ったり、学校に出向いてワークショップを行ったりしている著者が、なぜ子どもたちが過激派に取り込まれるのか、それを予防し取り戻すためになにをすべきか…

「移動」の未来(著:エドワード・ヒュームズ)を読みました

ドア・トゥー・ドアが当たり前になった今の「モノの移動」の話から、既存のインフラ・移動手段の限界、ライドシェアがもたらす「ヒトの移動」の変化、そして自動運転車の破壊的影響まで、広く目配りが行き届いた一冊です。 ベースになっているのはアメリカの…

TED TALKS(著:クリス・アンダーソン)を読みました

トークイベントの作り方の参考にと思った一冊でしたが、内容は登壇者のトークの作り方・心構えについて書かれた本でした。 「パブリックスピーキングは聴衆の頭に新しいアイデアを植える贈り物のようなものだ。それを効果的に行うハウツーは色々あるが、最も…

「外来種は本当に悪者か?」(著:フレッド・ピアス)を読みました

むむー、またしてもフレッド・ピアスにやられた!生態系、環境保護についてもっていた古い先入観をアップデートしてくれる良書でした。 「外来種は既存の生態系を乱す悪者扱いされる。しかし生態系は元々変化を常とするダイナミックなもので、あるべき元の自…

「日本の家屋と生活」(著:ブルーノ・タウト)を読みました

年明けてから日本の民家についての本を立て続けに読んでいたのですが、本書で一区切り。 「1933~36年日本に滞在した著者が、日本の建築特に民家の特徴と背景にある文化・生活を、個人的経験という形で論じた書。自然と親しみ質素なことが日本本来の生活・建…

「民藝とは何か」(著:柳宗悦)を読みました

2017年は柳宗悦さんの『民藝とは何か』からスタートしました。外国から来るゲストを迎える上でも、日本らしい美意識・芸術って何だろう?というのは一度立ち止まって考えてみるべきポイントなんじゃないかと思います。 「民衆が日常的に使う工藝品が民藝であ…

2016年の読書まとめ

年の瀬らしく、2016年の読書を振り返ってみました。合計90冊でした。読むの早いねーと言われることもありますが、早い人は1日1冊ペースとかもっと早いですよね。 ジャンル別に分類すると、おおよそ下記の通り。こうしてみると、何となく自分の頭の中の成分が…

「なめらかな社会とその敵」(著:鈴木健)を読みました

振れ幅がとっても大きい本でございました。 「人間の認知・対応能力の限界により近代社会では国民国家の境界で分割し世界を理解・構成してきたが、コンピューターとネットの発達はその限界を超えることを可能にした。今や個人・国家の境界を緩やかにし、複雑…

「世界天才紀行―ソクラテスからスティーブ・ジョブズまで」(著:エリック・ワイナー)を読みました

読了。 「天才はある時期、ある場所で集中して生まれる。アテネ、杭州、フィレンツェ、エディンバラ、カルカッタ、ウィーン、シリコンバレー。天才は生まれつきでも努力で作られるものでもない。無秩序で、多様性に富み、選別力が働く『場所』によって育まれ…

「10%起業 1割の時間で成功をつかむ方法 」(著:パトリック・J・マクギニス)を読みました

読了。たまには読むんですって、こういう本も。 「今やひとつの仕事だけでは十分ではない。専業での起業はリスクが大きいが、自分の時間・資金・長所を有効活用し長期的に臨めば、本業を続けながら10%程度のリソースを投じて投資家、アドバイザー、設立者と…

「イスラーム国の黒旗のもとに ―新たなるジハード主義の展開と深層― 」(著:サーミー・ムバイヤド )を読みました

読了。ISIS、ヌスラ戦線など、最前線でジハードに当たる個人を丁寧に描き連ねることで、かえってこれらの運動がいかに過去の経緯に根差した抜き差しならぬものであるかが見て取れます。 「ISISの思想・人的基盤は一朝一夕に形成されたものではない。サラフィ…

「ビットコインとブロックチェーン:暗号通貨を支える技術」(著:アンドレアス・M・アントノプロス)を読みました

読了。wired立ち読みしても全然分かんなかったけど、この本の末にある解説は超まとまっていて分かりやすかった! 「ビットコインでは、ネットワーク参加者が分権的にデータを圧縮・検証・アーカイビングし、結果の集積=ブロックチェーンをユーザー間で同期…

「ジニのパズル」(著:崔 実)を読みました

読了。99%はヒリヒリした感じですが、残り1%を経て読後感は清々しかったです。 「差別する日本人と差別に対し無為な朝鮮人双方にやりきれない想いを抱え、祖国に対する「革命」を試みた少女ジニの挫折と再生を描いた物語。日本の朝鮮学校からハワイを経て渡…

「スポーツのちから:地域をかえるソーシャルイノベーションの実践」(著: 松橋崇史,金子郁容,村林裕)を読みました

読了。 「共有施設利用に関するルール浸透や利害調整など、地域スポーツ振興のためにコミュニティが果たす役割は大きい。一方スポーツが地域のつながりを強化し地域活性化に資するケースもある。スポーツと地域が互いを活かしあうためには、支援コミュニティ…

「日本成長戦略 40歳定年制 経済と雇用の心配がなくなる日」(著: 柳川範之)を読みました

読了。40歳も近いのでどんなことが書いてあるかなぁと思って読んでみました。 「経済環境の変化が加速する中、生産年齢人口が減少し多様な働き手が働ける勤務体系が必要な日本は従来型の終身雇用の正社員一辺倒では対応しきれない。20年程度の中期雇用正社員…

「憲法の涙 リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください2」(著: 井上達夫)を読みました

読了。 「憲法9条を巡っては護憲派にも改憲派にも欺瞞がある。安全保障のあり方は共時的な議論を通じて見直していくべきで、憲法で内容を定め凍結すべきでない。民主主義は失敗から学び成長していく愚行の権利を保障する制度である。憲法改正の発議を奇貨と…

「見えざる手をこえて:新しい経済学のために」(著: カウシック・バスー)を読みました

読了。前世銀上級副総裁兼チーフエコノミストの手による主流派経済学への異議申し立ての書。 「ゲーム理論によれば、個人も市場も規範や文化に影響される社会的存在であり、最適均衡実現のため政府介入が正当化される場合がある。利己的個人と自由市場を前提…

「ブラインド・マッサージ」(著: 畢飛宇)を読みました

読了。まるで詩のような美しい小説でした。 「南京のマッサージ店で働く盲人たちが、運命に翻弄されつつも自分の希望を守り、夢を叶えようと奮闘する日々を描いた小説。盲人に安易に同情せず普通の同時代人として描写することで、盲人の喜びや悲しみ・夢と現…